デュエル学園シリーズ

パートナー




「当学園では半年に一回ずつ、大規模なタッグデュエル大会が開催される。
 そこで今日は、皆に己のパートナーを決めてもらう。
 一度組んだパートナーは一年間は解消できないので注意が必要だ」

 昨日の変態っぷりはどこへやら。
 マハード先生はきちんと教師の役目を遂行していた。

 ……ブラック・マジシャンの衣装は相変わらずだが。

「マハード先生。パートナーはどうやって決めるの?
 また、カードですか?」
「無論、その通りだ」

 あぁ、やっぱり。

「ここにカードを置く。
 窓際の列から順に引きに来なさい」

 その時、教室の扉がガラリと開いた。
 今回は私じゃない!今回は遅刻しなかったから!

「瀬戸。忙しいのはわかっているが自重しろ」

 現れたのは、あのオベリスク・ブルーの総代表。
 うげ。そういや同じオベリスク・ブルーだった。

「ふぅん。貴様の授業などこの俺には不要だ。
 といいたいところだが、不愉快だがタッグを決めなければならん。
 今回の授業だけは来てやった。ありがたく思え」

 そういえば、昨日はいなかった。
 総代表としての仕事が忙しいのかな。

「別に来ずとも残ったカードでお前のタッグ相手は決まる」
「ふざけるな!この俺が残り物だと!」
「……もういい。窓際から順番だ。たまには大人しく席に着いてろ」
「フン」

 ズカズカと総代表はゆく。
 そして席に着くと机に脚を投げ出した。
 ……おいおい。

 総代表が着席すると、生徒達は順にカードを引き始めた。

「ケッ、毎回のことだが、タッグデュエルだけは勘弁だぜ」

 私の真後ろからバクラの声が聞こえた。

「バクラはタッグ嫌いなの?」
「どいつもこいつも、この俺の足を引っ張りやがるからなぁ」

 協調性なさそうだもんなぁバクラも総代表も。

「私、イシズとタッグ組みたいな」

 私は横にいるルームメイトに微笑みかけた。
 イシズとなら、問題なくデュエルできそうだ。

。残念ですね」
「え?何が?」
「……すでに未来は決められています」

 そう言うと、イシズは遠い目をして黙ってしまった。

「ちょっ!イシズ!まだ私カード引いてないから!
 未来なんて決まってないから!」

 その時教室中がざわついた。
 ……原因は私ではなく。

「フハハハハハハハ!
 我が元へこい!ブルーアイズ・ホワイトドラゴン!」

 いつの間にか総代表がカードを引いていた。
 そのカードに誰もが注目する。

「……すげぇーなアイツ。今年もブルーアイズを引き当てやがった」

 って!ええええぇぇ!
 毎年引き当ててるの!

「フッ。俺が引き当てたのではない!
 カードが俺を選んだのだ!フハハハハ!」

 総代表の高笑いは止まらない。
 次、カードを引く生徒はどうしようかと固まっている。

「……もう良いだろう瀬戸。早く席に戻りなさい」
「何ぃ!貴様!この俺に指図するつもりか!三千年早いわ!」

 う、う〜ん。頑張れマハード先生。
 高笑いが止まらない総代表を、先生は無理矢理教卓からどける。
 上機嫌の総代表はそのまま笑いながら席へと戻っていった。


「どうしたのイシズ?」
「何があっても希望を捨ててはいけませんよ」

 いやいや。イシズに言われたくないなぁ。

 とか言っている間に私の番が回ってきた。





 この引きに、一年間の運命がかかっているといっても過言ではない。
 ごくり。
 マハード先生が見守る中、私はカードに手を伸ばす。

「私のターン!ディステニードロー!」

 カードが空を切り裂いた。
 光を放ち(※妄想)今私の前に姿を現す。
 私の引いた運命のカード。
 それは……、

「え、……ブルーアイズ・ホワイトドラゴン」

 再びざわつく教室。
 その中には安堵の声が多数聞こえてきた。

「よかった。今年の生け贄の決まりだな」

 などとどこからか不吉な台詞まで聞こえてきた。

「貴様風情がブルーアイズを引き当てただと!不愉快だ!」
「……また言ってやがる」

 どうやら毎年言っているらしい。

「いいか!貴様がこの俺のパートナーとなった以上。
 この俺の足を引っ張ることはゆるさん!
 死ぬ気で俺についてこい!」
「えぇぇぇっ!そんなの嫌ぁっ!」
「黙れ!貴様に拒否権はない!」

 ずかずかと私の前までやって来た総代表は、私を有無を言わさず担ぎ上げる。

「何をしている瀬戸!まだ授業は……」
「黙れ!俺は貴様と違って忙しい。パートナーが決まった以上、もうここには用はない!」
「だからって何で私まで!」
「今からこの俺が直々にスパルタ指導してやる。
 この俺のパートナーとなった以上、最低限のレベルが必要だ。
 貴様に拒否権はない!」

 そんなの無茶苦茶だぁ!

「主導権はこの俺にある!大人しくこの俺に従っていればいいのだ!
 フハハハハハハハ!」
「待て瀬戸!待て!」

 マハード先生!
 振り返れば先生はとても優しい目をしていた。
 が、すぐにその目は逸らされる。

「……。そのスカートに白は破廉恥だ」

 しろ?

 その時、シャッター音が聞こえてきた。
 振り向けばバクラが携帯を構えてにやにやと笑っている。
 そして、自分の体制にハッとした。

「〜〜〜〜っ!やだやだ!降ろしてぇっ!」
「へぇ。なかなか見物じゃねぇか」

 じたばたすればするほど、状況は悪化の一途をたどる。

「フハハハハハハハ!」

 海馬は嘲笑いながら、そのまま退出する。
 勿論私を担いだまま。








「バクラ授業中に携帯を使うなど、没収だ!」
「はっ何言ってやがるこの変態ロリコン教師」
「なっ!この私が変態だと!」
「二人ともいい加減になさい」

 イシズがバクラの携帯を取りあげ、へしおった。

「〜〜っ……!おい貴様!」
「何でしょう?それよりも先生授業を再開してください」


 かくして、授業は再開された。
 








 マハード先生。ロリコンも否定しましょうね。
 先生変態路線決定。








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