暇つぶしにレッド団

団員募集



前回、冗談半分で言った私の一言で、R(レッド)団を作ることになりました。

「……というわけで、グリーン、手下になりそうなの集めてきて」

前回同様、トキワジムに遊びに来ているレッドさんは、ジムのリーダー席から動こうとしません。それどころか、我らがリーダーを顎で使おうとしています。

「ちょっ……お前、勝手に俺を仲間にカウントすんなよ」

リーダーが当然の抗議をすると、レッドさんはその綺麗な赤い瞳でじっとリーダーを見つめて一言。

「…………グリーンがいれば、最強なのに」

流石は幼なじみ。リーダーの心の動かし方をよくご存じで。

「い、いや、確かに俺は最強だし、お前がどーしてもって言うんなら、協力してやっても良いけど」

あぁ、なんて可愛い人だろう。私を含むジムトレーナーは常備しているハンカチで目元を押さえた。
でも、リーダー、気づいてください。あなたがここで止めなければ、いったい誰がレッドさんを止めるんです。
そう思ったものの、嬉しそうにポケギアで連絡しまくるリーダーを、私は止めることはできませんでした。


そんなこんなで、以下団員募集の課程になるわけですが……。


タケシ「おっ、久しぶりじゃないかー。……え?レッドが組織を作るって?」

カスミ「……全然連絡してこない、あのひきこもりが?」

エリカ「あらまぁ。楽しそうですわね」

ナツメ「……こうなることは、彼と初めて出会った時からわかっていたわ」

コトネ「えっ!レッドさんの部下になれちゃうんですか!もちろん入団します!」

ヒビキ「コトネちゃんが入るなら僕もー」

シルバー「……し、仕方ないから今回だけつきあってやる」

ミナキ「何!スイクンと一緒に働ける職場だと!私も入る!」

マツバ「……落ち着こうねミナキ。……仕方ない僕も入るか」

アカネ「なんや。おもろいことになってんなー。うちも入れてーな」

ワタル「そんな楽しそうなことに、俺を仲間外れにしないで欲しいな。当然、俺も入るよ」

イブキ「か、勘違いしないでよ。問題が起きないように大人の私が見張っててあげるんだから」

イツキ「へぇ、いろんな人たちが集まってくるんだ。良い修行になりそうだね」

キョウ「……修行。ならば逃げるわけにはゆかぬな」

シバ「……うむ」

多少省略しましたが、あっと言う間に、ジムリーダーやら四天王やらと連絡が付き、次第に……

ミニスカート「ねぇねぇ知ってる?あの有名なレッドさんがR団作るらしいよ」

ピクニックガール「なんでも今、団員募集中なんだって」

たんパンこぞう「まじ!俺レッドさん尊敬してんだよね」

ふたごちゃん「「レッドさんにあいたーい!」」


……という具合に次々と入団希望者が殺到し……、


2009年○月 R(レッド)団結成と同時に世界を統一

驚異の早さで世界統一した少年レッド。
後に歴史の教科書の、超重要人物指定される。

……こうして、世界は平和になった。

<完>




…………と、冗談でなく、なりそうでした。




「……だめ。やり直し」

入団希望者のリストが、部屋中に紙の塔を築いてゆらゆらと揺れている。それをレッドさんはおもむろに蹴り倒した。

「お、お前っ……人を集めろって言っといて……」

わなわなと震えるリーダー。額にはうっすらと青筋が見える。

「征服するって言ったよね。統一してどうするの?平和にしてどうするの?誰がこんなにまとめるの?……嫌だよ。めんどくさい。…………使えないヤツ」

ピシッ……
その瞬間、リーダーから色が抜けた。まるで石像のようになって動かなくなった体を、私は必死で揺さぶる。

「リーダー落ち着いてください!」
「……なぁ。俺、使えないヤツじゃ……ない、よな?」
「勿論です!気をしっかり持ってください!」
「そうだよな!おいレッド!いい加減俺ばっかり使ってないで、自分で動け!」
「……そう。じゃ、ピカチュウ」
「だから、それやめろ!」

ビリビリと頬から電気をちらつかせながら、ピカチュウがレッドさんの肩から降りた。

落雷のお知らせまで、あと数秒。


……その後。
せっかく作った入団リストを、レッドさんがお気に召さなかったので、入団募集の条件をひとつ入れて、再度募集してみました。


ポケモンバトルの実力がジムリーダー以上であること。

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